ものづくり

自分で全部作りたいという欲求と効率の狭間

先日、大学時代の研究室のOB会で、あるOBがプレゼンテーションでこんなことを言っていた。

「僕はこのシーンが大好きなんです。」

そう言って彼が見せたのは、映画アイアンマンの主人公が、自宅の実験室のようなところにこもって、一人で淡々とロボットを作っているところだった。

多分、一般的な感覚からすれば、ちょっとこいつ変なやつだな、って思うのかもしれない。

でも、僕は彼の言っていることが、すごく腑に落ちた。

「そうか、僕の根源的な欲求もこれだ」

と。

一人で自分の好きなものを作り上げてしまう、スーパーエンジニア。

それによって自分の求める世界を自分の周りにいとも容易に構築してしまう。

僕はこれになりたかったのだ。

僕は昔から、映画に出てくる尋常じゃなく頭のいいキャラクターに惹かれてきた。

これはきっと、彼らが大抵コンピュータを自在に操り、自分の思うがままに環境を変化させていく力を持っているからだったのだろう。

だが、これらはすべてフィクションで、現実には一人の人間が死ぬまでに得られる知識や技術、そして作れるアウトプットの数はたかがしれている。

実世界では、通常優秀なエンジニアを沢山雇い、これを実現するのだ。

だが、僕は根源的な欲求として自分の世界は自分の手で創りたいと思ってしまっている。

これをどうやって両立するのかが今後の課題みたいだ。

言語化できてスッキリした。

ものづくりには三種類ある

僕の中でものづくりがまた一段階理解が深まったので、ここに記す。
(前回の記事はこちら

※ちなみに僕の中で、ものづくりというのは、
・既存の同一のものは作らない
・アート的なものは含まない
という前提。

「ものづくりをしたい」と思っている人で、
メーカーなどの自分の描く「もの」を作れるはずの場所にいるのに、
何かパッとしないなあ、と悶々としながら日々を惰性で過ごしている人は結構いるんじゃないだろうか。

「自分が作りたいものは、なんとなくこれじゃないんだよな…
でも、何が作りたいのかって言われたらわからない…」

おおよそ、こんなことを職場で口にしようものなら、
「つべこべ言わずに目の前の仕事やれ」
なんて言われるんじゃないだろうか。

まして、そんな悩みを抱える若手技術者に、
「お前は何が作りたいんだ?
俺(私)の経験や知識なんかで役に立つかわからないが、
一緒に考えてみないか?」
とか、
「今は目の前の納品が大変だから、
とりあえず今の製品を一緒に最高のものにしよう。
そこを越えたら、全部言ってみろよ。」

なんて、親身になって考えてくれる上司や先輩はなかなかいないんじゃないだろうか。

僕の日本の大企業メーカーはだいたいこんなイメージだ。
(友人から聞いた話でしか知らないけど。)

もしも、そんな悩みを抱えている人がいたら、
もしかしたらほんの少しぐらいは参考になるかもしれない。

何より僕自身がその悩みを抱えたものだが、
結構すっきり整理できた説明がある。

前置きが長くなったが、結論から言うと、

・改善
・革新
・革命

の三つがものづくりだ。

全てのものづくりは、問題解決の手段であり、言い換えるならば、
世界のイマイチなBeforeの状態を、よりよいAfterの状態を作るための手段だ。
その問題解決という目的に対する方法の位置付けによって、以下のように分けられるのだ。
目的

以下が詳細だ。
ちなみに、全ての例の最後は僕が実際に前職でやったことである。
(そのせいで、少し粒が細かくなっているのは悪しからず)

・改善

【説明】
現在あるものの延長線上のものづくり全て。

【例】
PCやスマートフォンのスペック向上、カメラの解像度向上
PLなどの帳票作成の仕組みの整理整頓

【性質】
この領域の多くは素材や技術の進歩で向上することが多い。
その素材や技術の進歩をさせる立場でない限り、
創造性の必要な領域が後の二つに比べて相対的に小さい。

【見解】
つまらない。
だいたい出来上がるものの輪郭が見えてしまっているから。
せいぜいあっても、今までなかった機能の追加程度。
僕が楽しさを感じる、創造と工夫の余地が少ない。
求められたことが実直に丁寧にできる、
もっと自分よりも向いている人がやればいいと思う。

・革新
【説明】
既存のもが達成しようとしていた目的を、
全く別の効率のよりよい方法で達成すること。

【例】
iPhoneのデジカメ機能、
PLなどの帳票作成の手作業部分をプログラムによって自動化

【性質】
改善と比較して段違いに便利になることが多い。
また、創造性が必要であり、
領域を複合的に組み合わせる必要がある。

【見解】
面白い。
創造性が改善に比べて求められる上、
市場に受け入れられる十分な工夫が必要。

・革命
【説明】
既存のものが達成しようとしていた目的を、
自動的に達成される仕組みを作ること。

【例】
ビットコイン
PLなどの帳票作成が、仕組みの根本的整備やプログラムで、
全自動でタイムリーに更新

【性質】
高度な創造性と技術が求められる。

【見解】
最高に面白い。
誰も想像できなかった世界が実現できる。

以上である。
個人の経験からして、改善よりも革新、革命の方が楽しかった。

大企業の既存製品担当は改善に該当する。
起業や新規事業立ち上げは革新や革命に該当する。

どれが楽しいと感じるかはその人次第だ。

【補足】
この三つの言葉選びが適切かどうかは分からないが、
僕なりに考えて選んでいる。
それぞれの言葉の選択理由は以下の通りだ。
意味はすべてgoo辞書参照。

・改善
意味:悪いところを改めてよくすること。
選択理由: 延長線上の意味合いがよく表現されているため。

・革新
意味:旧来の制度・組織・方法・習慣などを改めて新しくすること
選択理由: 同じ構成要素でありながら、構造を変化させるという意味において、同じ目的を別の手段で果たすというニュアンスがよく表現されているため。

・革命
意味:被支配階級が時の支配階級を倒して政治権力を握り、政治・経済・社会体制を根本的に変革すること。
選択理由: そもそもの仕組みを消し去り、パラダイムが完全に変わるニュアンスがよく表現されているため。