僕が仕事で何人かの「偉い」人たちと外出をしているときだった。
一番「偉い」人が
「AIが最近すごいみたいだね」
と言っていたので、
どれぐらい彼らがホットな話題と未来を考えているのか、
意見を引き出すために、僕は最近読んだばかりの知見を共有した。
まあ、割りとよくある話で、
AIがどういう領域は人間と取って代わることができるかとか、
どういう領域からビジネス的には入るといいかとか、
自社のビジネスに活かすとしたら、どういう使い方がいいかとか、
そんな話をした。
僕は、僕の話に対して、
何かしらのツッコミや誤認識の指摘、
あるいはそこから着想した新しいアイディアを生む場になることを期待した。
だが、結果は僕が予想だにしなかった状態だった。
…ポカーン。
誰も何も言わなかったのだ。
皆、中学生でも知っているような、
「AIがすごいらしい」
というレベルの話しか知らないどころか、
何も考えていなかったのだ。
流石に空気の読めない僕も、
その場で「偉い人」に「●●についてどう思われますか?」
という言葉をここで言ったらまずいことは分かった。
多分、この場の誰も何も答えられない。
無論、
「リバースエンジニアくん、僕はAIについてまだ全然勉強できていないんだけど、
●●っていうのはどういうことなのか、教えてくれないか?」
なんていう謙虚な質問をすることができる人もいない。
みんな下らないプライドを持っているからだ。
(もしここでそうした謙虚な姿勢で質問をする人がいたとしたら、
僕はその人を心の底から尊敬していたと思う)
本当にヤバいと僕は思った。
AIなんて僕は特別詳しい訳じゃなくて、
一般市民として意見を言えるぐらいに、
ちょっと自分でスキマ時間に調べて考えていただけだ。
だって、あんなにあからさまに
世界に影響を及ぼすテクノロジーなんて、
そうそう生まれない。
それについてすら未来を考えないなんて、
「偉い」ポジションにいるビジネスパーソンとしてどうなんだろう。
知らないことが罪だという話もあるが、
僕はここでそのレベルは求めていない。
あからさまに世の中に影響を与えることが分かっていることすら、
考えずに傍観している状況がヤバイのだ。
これは、僕がこの「偉い」人の意見をあまり聞かない決定打になった。
薄々気づいてはいたが、こんなに何も考えていない人の言うことは、
自分が若かりし頃に教わった前時代的な話ばかりだ。
それこそ「新卒で入ったら三年は続けたほうがいい」に代表されるような、
全く根拠のない負の遺産的思想を語ることしかできない。
状況はびっくりするぐらい変わってきている。
こういう変化はべき乗則で効いてくるものだ。
そんなお粗末な意見なんかより、
自分で考えた意見の方が、よっぽど信じられる。
もちろん、これは世の中のほんの一例だという説もあるが、
こうした既得権益者が自分の今の地位と収入に甘んじ、
本気で世界を考えなくなっているというのは、
僕は特にこの狭い島国においては割りとよくある話だと思う。
一番大切なのは、自分の頭で未来について考えることだ。
だから、理由もなく「偉い人」の言うことを
一生懸命ありがたがっている人は気をつけたほうが良い。
これからの時代を作るのは、時間の流れから言って若い世代なのだ。
そして、若い世代への共感性は、
上の世代よりも若い自分たちの方が、
はるかにあるものだ。
ポケモンGoやInstagram、SNOWを使ったことのない人が上にいる場合は要注意だ。
逆に、それらの若者の間で流行っているアプリを使ったことのある「偉い」人がいたとしたら、
その人はきっと、時代の動きに敏感な、文字通り偉い人だ。
歳をとっても、女子高生の流行りなんかにも詳しい、
かっこいいおじいちゃんになれるよう、
自分の頭で未来を考えることは常にやっておきたいものだ。